和紙の原料として知られる雁皮。栽培がむずかしく、いまや山で採取することのできる人はほとんどいない。雁皮は、人間の思惑に取りこまれることなく、それでいて私たちの生活に伴走してきた稀有な存在でもある。この謎多き植物を追うべく、人類学者が旅を重ねた。手さぐりで進むうちに、ふいに人との縁が生まれ、過去と未来がつながっていく……。
著者プロフィール
猪瀬浩平
(いのせ こうへい)
1970年代の終わりに、浦和市(現さいたま市)の団地に生まれる。明治学院大学教養教育センター教授。専門は文化人類学、ボランティア学。1999年の開園以来、見沼田んぼ福祉農園の活動に巻き込まれ、様々な役割を背負いながら今に至る。著書に、『むらと原発窪川 原発計画をもみ消した四万十の人びと』(農山漁村文化協会)、『分解者たち 見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院)、『ボランティアってなんだっけ?』(岩波ブックレット)、『野生のしっそう 障害、兄、そして人類学とともに』(ミシマ社)他。